アパートの建築ならびに賃貸経営を検討されている方にとって大きな関心事のひとつが、果たして建築費にはどの位かかるのかという点ではないでしょうか。ここではひとつの目安として、5,000万の予算でどのようなアパートを建てることができるのかについて考察していきたいと思います。構造や階数、延床面積などはどうなるのか、一例として参考にしてみてください。
そもそもアパートの建築費というものは様々な要素によって金額が左右されるものであり、例えば土地の立地や形状、坪単価、周辺環境などによって変わってくるということを、まずは大前提として踏まえておいてください。
その上で、建築費の予算が5,000万の場合、どの程度のスペックの物件を建てることができるのかをご紹介したいと思います。あくまでも平均的な目安としてですが、構造や階数、延床面積はどうなるのか、その他の費用はどうなのか、以下にまとめてみましたのでご覧ください。
アパートを含め、建築物の構造には大きく分けると、木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。これらのうち、重量鉄骨造と鉄筋コンクリート造はどちらかといえば規模の大きな物件向けの構造であり、また建築費も比較的高額となる傾向にありますので、予算5,000万のアパート建築には、あまり適していないというのが実情になります。
逆に建築坪単価を一番安く抑えることができるのは木造で、例えば建ぺい率60%、容積率200%の場合、50坪の平均建築費は4,390万円となっています。鉄骨造の場合は同条件で30坪3.870万円となっていますが、近年では規格化によってローコスト化を図った軽量鉄骨造もお目見えしています。
アパートを建てる立地や周辺環境にもよりますが、建築費5,000万円の場合、建てられるアパートは2階建てが多くなると思われ、様々な条件が合えば3階建ても可能という感じになります。
とりわけ大きな要素は、その土地の「用途地域」。そもそも土地というものには、立地によって商業地域や工業地域などに区分けされています。建築費5,000万円の規模のアパートは、第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域に建てるというのが現実的であり、これらの地域は周囲に2階建て住宅が多くなるため、日照権の関係なども含め、2階建てとなる場合が多くなります。
延床面積とは建設する建物の階数すべての床面積を合計した広さのこと。2階建てのアパートであれば、1階部分と2階部分の床面積の合計ということになります。また建物の建築費というのは「坪単価×延床面積」という計算式で表すことができます。例えば坪単価が100万円であれば、建築費5,000万円の場合、50坪の延床面積の物件を建てることが出来るという計算になります。
しかし物事はそう単純ではなく、後述します通り、アパート建築には様々な諸費用というものが発生します。単純計算で坪単価と予算金額「だけ」を考慮して延床面積を割り出してしまうと、後で「予算が足りない」という事態となってしまいますので、注意が必要です。
すでに一戸建て住宅などを建てた経験がおありであれば先刻ご承知の通り、不動産物件というものは建物自体の建築費用の他にも様々な費用が発生します。5,000万円の予算であれば、本体工事費に割り当てられるのは7割~8割程度、残りの2割~3割程度は諸費用に回す必要があるということを踏まえておいてください。
主な諸費用としては、物件に設置するバス、トイレ、キッチンなどの設備費用、門扉や外構の工事費用、ガスや水道の工事費用などがあります。その他にも不動産取得税や登録免許税などの税金、火災や地震に対する保険料なども考慮しておかなければなりません。
5,000万円という予算内でやりくりするのであれば、例えば部屋数を減らすことで建築費だけでなく設備費用も軽減するといった計画も検討してみてください。
以上の通り、アパートの建築費というものは様々な要素によって左右されるものであり、ひと口に5,000万円と言っても、建てられる物件はまさにケースバイケースです。それゆえ、アパート建築の計画を立てる際は、複数の業者にプラン提案と見積もりを依頼し、比較検討した上で一番納得できるプランを提示してきた業者を選ぶというのが賢明です。ぜひ、検討してみてください。