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アパート経営者のリスク「騒音トラブル」の原因と解決方法をチェック

アパート経営では騒音トラブルは避けられない問題。この記事では、騒音トラブルの原因からリスクを減らす方法まで解説します。

目次

騒音トラブルを生む原因とは

アパート経営において、騒音トラブルは目を背けてはいけない問題です。それにしても、なぜさまざまなところで騒音トラブルが起きてしまうのでしょうか。

騒音トラブルが発生してしまうには、いろんな原因がありますので、まずは考えられるものを見ていくことにしましょう。

「木造」「軽量鉄骨」のアパートは音が漏れやすい

一般的に、アパートやマンションにおける建築構造は「木造」「鉄筋」「鉄筋コンクリート」の3つに分かれます。この中で防音性が低いのが木造建築です。木造建築は通気性が良い、というメリットがある反面、音も伝わりやすく、騒音問題が起こる可能性が3つの建築構造の中で高いといえるでしょう。

また、鉄骨構造には「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」の2種類があります。木造建築のアパートよりは音が伝わりにくいものの、「軽量鉄骨」の場合、防音性に優れているとは言い難い面もあります。ただ、鉄筋構造のうち「重量鉄骨」だと、ほかの部屋に音が漏れにくくなります。

逆に3つの建築構造の中で防音性が高いのは鉄筋コンクリートです。鉄の棒で骨組みを作った中にコンクリートを流し込んで壁を作っていくため、壁の密度が高くなることから音が伝わりにくい、という特徴があります。

どんな音を騒音として感じるかは人により違う

どのような音を「騒音」として感じるかは、人によって大きく変わってきます。例えば部屋の中で大人数での宴会をして大騒ぎをしている、大音量で楽器を演奏している、といった場合には騒音だと感じる人が多いでしょう。

しかし、ほかの人であれば全く気にならない程度の音を騒音として感じる人がいるのも事実です。

どのくらいの音の大きさが「騒音」となる?

音の大きさを表す際に、「dB(デシベル)」という単位で表されます。例えば「ホテルの室内」は30dB、「図書館の室内」は40dB程度と表されます(※)。

(※)参照元(PDF):環境省(https://www.env.go.jp/air/生活騒音パンフレット(2019年3月).pdf)

一般的に60dB以上になると「うるさい」と感じる人が多い

一般的に、人が「うるさい」と感じるのは60dB以上とされており、「ファミリーレストランやコーヒーショップの店内」などが60〜70dBの騒音とされています(※)。このレベルになると、通常の会話が難しくなり、大きな声を出さないと相手に聞こえにくいなど会話に支障が出てくることもあります。

また、それ以上になると「バスや新幹線の車内」はおよそ70dB、「地下鉄の車内」や「昼間の主要幹線道路」、「蝉の声」、「飛行機の機内」は70〜80dB(※)。

多くの人がうるさいと感じてしまう「ゲームセンターの店内」は80〜90dB、「パチンコの店内」はおよそ90dBです(※)。このレベルの騒音になると、「うるさくて我慢できない」と感じる人も多いでしょう。

(※)参照元(PDF):環境省(https://www.env.go.jp/air/生活騒音パンフレット(2019年3月).pdf)

100dB以上になると聴覚機能に異常をきたす場合も

例えば「電車が通るときのガード下」は100dB、「自動車のクラクション」は110dBと表されます(※)。このレベルの騒音になると「極めてうるさい」と感じる人が多くなり、場合によっては聴覚障害に支障をきたすことがあるといわれています。

(※)参照元:日本騒音調査 ソーチョー(https://www.skklab.com/standard_value)

アパートにおいてここまでの騒音が出ることはあまりありませんが、どのくらいの音が一般的に騒音と感じられるのか覚えておいて損はないでしょう。

騒音トラブルを解決するには?4つのポイント

実際に騒音トラブルが発生した場合、どのような対応が必要なのでしょうか。ここでは、騒音トラブルを解決するために押さえておきたい4つのポイントについて解説していきます。

とにかく迅速に対応する

騒音トラブルが発生した場合、とにかく迅速な対応を心がけることが大切です。管理側がなかなか動いてくれない、となると入居者同士のさらなるトラブルを招くことになりかねませんし、最悪の場合騒音に困っている側が退居してしまう可能性も。

入居者が不満を持って退去を検討する前に、逐一調査内容を連絡するなど、しっかりと対策しているという点を理解してもらうことも大切なポイントといえるでしょう。

騒音の原因がはっきりしている場合は手紙を配布

騒音に関するクレームが上がってきた場合、「何が騒音の原因なのか」がはっきりしている場合があります。例えば楽器を演奏している、テレビの音量、夜間の掃除機など。

このようなケースでは、特定の部屋に注意をするのではなく、まずは「全戸に向けた手紙を配布する」ことが有効な場合が多いです。例えば、掃除機や洗濯機の使用音が騒音となってしまっている場合、夜間の掃除や洗濯は控えるようにお願いするという内容の手紙を配りましょう。この時、夜間とは具体的に何時から何時までを目安としているのかも明記しておくと効果的です。

ただし、手紙を配布しても解決されないこともあるかもしれません。その場合は入居者全員に話を聞いてみましょう。話を聞く中で騒音の発生源がわかった場合には、事情を聞いた上で注意をすることで、騒音トラブルの解決に繋げることができるはずです。

騒音の原因が不明な場合はまずヒアリングを

騒音がどこから発生しているかわからない場合もあります。また、入居者全員に話を聞いてみても、ほかの入居者は特に騒音に気づいていない、気になっていないというケースも。

このような場合は、苦情を出した本人が音に対して敏感である、あるいは神経質な気質である可能性も考えられます。どのレベルの音を騒音として感じるかは人によって異なるため、頭ごなしに「気にしすぎです」「他の入居者は全く気にしていませんよ」などと言ってしまうのは良くありません。「苦情を出しているのに、きちんと対応してくれない」と感じてしまうこともあるでしょう。

この場合、苦情を出した本人に「十分に調査を行った」という点を丁寧に伝えることが必要になってきます。

騒音を出す側の事情も考慮する

しかし、騒音の原因となっている人にはやむにやまれぬ事情がある場合もあります。例えば子どもが生まれたばかりでどうしても夜泣きがひどい、認知症の家族がいる、入居者自身が認知症を発症することで音への判断力が低下し、大きな音や声を出してしまうと言ったケースが考えられます。

このように、騒音に関する調査を行う場合は、このような事情がある可能性も踏まえて丁寧に話を聞くことが必要です。ただ、入居者に話を聞くのが難しい場合には、緊急連絡先や連帯保証人に連絡を取ることも必要かもしれません。

騒音問題を解決できない場合、損害賠償・引越費用の請求リスクも!

騒音トラブルが発生してしまった後、十分な対策が行われていないと入居者が判断した場合、最悪の場合入居者の退居につながってしまいます。その際、引越しにかかる費用を請求されることも。

また、騒音が解決しなかったために精神的苦痛を被ったなどの理由で、損害賠償を請求される可能性もあるため、しっかりと対策を行う必要があります。

リスクを減らすための予防策

アパート経営を行う際には、損害賠償の請求や入居者が退去することによる費用の請求など、考えられるリスクは減らしておきたいものです。

そこで、どのような予防策が考えられるのかをあらかじめチェックしておきましょう。例えばトラブルへの対応の記録を細かくつけておくなど、難しいものではありませんので、万が一騒音トラブルが発生したら落ち着いて対応することが大切です。

騒音トラブルに関する記録をつけておく

まず考えられる対策として、「騒音トラブルに関連する記録を残しておく」ことが必要です。例えば苦情に関する手紙やメールは必ず残しておく、電話で話した内容や直接聞いた内容に関しては、話した日付とともに内容をまとめておくといった対策を行いましょう。

また、会話をメモに残しておくのが難しい場合は、ICレコーダーも非常に役に立ちます。今は音声を録音できる機能が搭載されたスマートフォンもありますので、うまく活用して記録を残すようにしてください。

クレーマーの場合は立ち退き交渉もひとつの手

騒音トラブルの中には、苦情を出す側がただのクレーマーである、という可能性もあります。クレームばかり言ってくる入居者がいる場合には注意したいところです。

入居者を大家の都合で退去させることはどうしても難しいのですが、例えばクレーマー自身が「騒音がうるさすぎるので引越ししたい」といった苦情を出してきた場合、大家が費用を負担することで引越しを促すのもひとつの方法です。

クレーマーがずっと入居していると、騒音以外でも繰り返し苦情を出してくることが考えられます。クレームの対応は非常に時間が取られてしまいますし、何より対応するとどっと疲れてしまうため、うまく立ち退いてもらう方法を考えてみてはいかがでしょうか。

アパート経営前にしておきたい防音対策

アパート経営を行う上では、トラブルを防ぐために事前に防音対策はしておくべきといえます。

例えば壁材や玄関ドアに防音性を高める建材を取り入れるだけで、音の伝わりやすさが変わってきます。また、遮音シートや吸音シートなどを貼るのも良い方法といえるでしょう。

さらに、壁は音が伝わりにくい構造にしていたとしても、玄関のドアや窓への対策も忘れてはいけません。具体的には、防音効果のある玄関ドアをつけたり、窓を二重サッシにしたりするのが効果的。特に二重サッシにすると防音性とともに断熱性もアップするため、入居を考えている人にとってメリットと感じられるアパートになります。

ただし、防音効果のある建材などはコストがかかるのが難点。設備に投資した分は家賃に反映されることになりますが、あまり高い家賃を設定してしまうと入居者が集まらない、ということにもなりかねません。入居者にとって負担にならない家賃設定にすることも忘れないようにしましょう。

アパート経営開始後でもできる防音対策

アパート経営を始めてからでも、騒音に対して対策することができます。

例えば、壁に防音パネルを貼る、床に防音カーペットやフロアタイルを敷くといった方法。さらに今は防音効果のあるカーテンもあるので、さまざまなグッズを上手に活用することで騒音を防ぐことができるでしょう。

また、アパートの契約書に「楽器の演奏は禁止」「ペットの飼育禁止」など、騒音に関係してきそうな点について禁止事項をしっかりと明記しておくことも大切です。楽器演奏を可能とする場合には、いつでもOKとするのではなく、「何時から何時までは演奏可」とすることで騒音トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

アパートで騒音トラブルが発生してしまった場合、最悪の場合空室に繋がってしまう場合もあります。入居者の退居を防ぐためには、トラブルを事前に把握し、迅速に対応することが大切。しっかりと対応できれば、退居リスクを回避することができるはずです。先延ばしにして入居者同士の新たなトラブルに発展しないよう、対策を立てておきましょう。

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