アパート建築は相続税対策にも効果があると言われています。更地ではなくアパート建築することでなぜ相続税対策の効果が得られるのか、注意点も含めて説明します。
相続税とは、相続や遺言で遺産を受け継ぐ際に、現金だけでなく、株券や債券などの有価証券、土地や建物などの不動産、貴金属などにかかる税金のことです。相続人は相続放棄を行なわない限り相続税を支払う義務があります。
相続税にも所得税と同じように基礎控除額があるため、その税率は相続する金額により、40%~55%に定められています。ちなみに、東京国税局のデータによると、平成28年度の1人当たりの相続税額の平均は2,473万円※。相続人のなかには、銀行からの借り入れや不動産売却により支払わなければならないケースもあります。そのため、税率の高い相続税対策のためにアパート建築をする人も少なくありません。
現金には100%の相続税がかかりますが、土地や建物は評価額により相続税率が変動します。土地評価額を算出する方法は複数あり、相続や贈与の場合は国税庁が毎年8月に発表する路線価を使って算出。土地面積に路線価をかけることで相続税額を導きだすことが可能です。
土地として相続するとその評価額は2割減となることから、現金で相続するよりも相続税額を抑えることができます。また、建物の相続税は固定資産税評価額を使って算出しますが、建築費の6~7割となるため、建物の評価額を3~4割に抑えることができます(※)。アパートを新築すれば、土地、建物の評価額を下げることで相続税を抑えることが可能です。
(※)参照元:旭化成(https://www.asahi-kasei.co.jp/maison/chiebukuro/tax/souzokuzei-07.html/)
亡くなった人が居住していた土地や事業を行っていた土地であれば、一定の要件を満たすことで、80%または50%評価額を下げる特例が適用されます(※)。生計を共にする親や親族から土地を相続することが多いため、この特例が適用されれば、相続税を大幅に抑えることも可能と言えるでしょう。
(※)参照元:税理士法人チェスター:(https://chester-tax.com/encyclopedia/dic01_141.html)
アパート建築費用を金融機関のローンなどで調達する場合は、借入金がマイナス資産となるため、相続対象の財産から控除される債務控除が適用されます(※)。また、アパートを担保に融資も受けやすくなるため、経営が順調にいっていれば新たにアパート建築をして資産を増やすことも可能です。
(※)参照元:HOME4Uオーナーズ(https://home4u-owners.jp/contents/construction-apartment-8-2581#4-1-1)
新築したばかりのアパートであれば、入居者の人気も高く満室を維持できる可能性も高くなります。しかし、築後の経年劣化は避けて通ることはできないため、定期的なメンテナンスや修繕に費用をかけなければ美観や資産価値を維持することはできないでしょう。場合によっては大規模なリノベーションが必要になることもあります。また、管理会社に管理業務を委託するのであれば、その費用も支払わなければなりません。
アパートが満室にならず家賃収入が減っても、毎月、毎年かかるランニングコストは変わらないため、赤字経営になってしまいます。必要経費などを支払っても収益が出るようにするためには、常に高い入居率を維持することが必須条件となるでしょう。
せっかく相続税対策をしても、アパート経営が軌道に乗らないと収益を出すことは難しくなります。そのためには、地域や入居者のニーズや周辺環境、アクセスなど、様々な条件を満たしたアパート建築することが大切です。アパート建築をする前に、どんなアパートが入居者に選ばれているのか、しっかりとリサーチするようにしましょう。