市街化調整区域に該当する土地であっても、都市計画法第34条第11号の要件を満たした場所であれば、アパート建築が可能です。ただし、特殊な場所でのアパート経営となるため、注意点やリスクを十分に理解した上で慎重に企画を進める必要があります。
都市計画法第34条には、市街化調整区域内でも例外的に建てて良い建築物の種類として、第1号から第14号に分けて詳しい規定を設けています。これらのうち「第11号」に該当すれば、アパートの建築が可能です。都市計画法第34条第11号に該当する主な要件は次の通りです。
参照:昭和四十三年法律第百号都市計画法 | e-Gov法令検索
第11号に該当するエリアであれば、自治体からの許可は必要になるものの、第二種低層住居専用地域に準じた建物を建てることが可能です。具体的には、「低階層+店舗部分が2階以下+床面積の合計が150㎡以内」の条件を満たした建物であれば、誰でも建物を建てることができます。
要件をクリアすれば11号区域にアパートを建てることも可能ですが、実際にアパート建築を検討する場合には、注意しておきたいことが2点あります。実際に11号区域へのアパート建築を検討する際には、11号区域のリスク等を熟知した専門の不動産会社へ相談するようおすすめします。
国土交通省が推進しているコンパクトシティ政策を背景に、近年は11号区域が縮小・廃止される傾向にあります。人口減少が続いていることに加え、都市運営の予算も限られている中、今後も11号区域の縮小・廃止は続いていくことでしょう。仮に、現在11号区域の場所にアパートを建築したとしても、将来的に11号区域から外されるリスクは残り続けます。
もしアパート建築後に11号区域から外されたならば、以後は周辺エリアに建物が建たなくなるため不動産価値が低下。売却しようにも買い手が付かない可能性も高く、仮に買い手が付いたとしても大きなキャピタルロスを生むことになるかもしれません。
市街化区域が隣接・近接しているとは言え、都市計画法第34条に該当する地域である以上、市街化区域に比べてインフラが整っていない可能性があります。「都市ガスが引かれていない」「敷地に下水道が通じていない」といった事態は大いに想定されるでしょう。
アパートに入居者を呼び込むためには、これらのインフラを整える必要があります。そして、インフラを整えるための費用は基本的に自腹です。
また、市街化区域に比べて商業施設や公共施設などが少ないため、日常生活に不便を感じる可能性もあります。生活の利便性を重視する単身者が増加傾向にある現在、そのような場所で高い入居ニーズを維持させ続けられるかどうかは不明瞭です。
都市計画法第34条第11号に該当する場合、市街地調整区域であってもアパートの建築は可能です。ただし、当ページでご説明したとおり、注意点も理解したうえでアパート建築を考える必要があります。
もし11号区域へのアパート建築を検討するならば、自己判断のみで計画を推進させることはハイリスクかもしれません。地域の土地事情に詳しい不動産会社を相談パートナーに選び、企画中止も含めた広い視点で検討するようおすすめします。